マイケル・アモットに会ってきた!

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Black Earth Japan Tour 2016
Live in Drum Be-1,Fukuoka
2016.05.19

1.いざBe-1へ!

平日のど真ん中の19日、とにかく急いでタクシーに乗り込む。時刻は18:20。開場時刻はとっくに過ぎている。会社を適当な理由を付けて飛び出してきた。まだ洋服はスーツのまま。「どうしようかな〜?」なんて呑気に鼻歌を歌っている内にタクシーは長浜公園に着く。「お客さん、この辺でいい?」真昼間の親富孝通りはなかなかのカオスだった。なんか陽気のせいもありバンコクトゥクトゥクにでも乗って移動しているかの様な錯覚がした。

「いや、もう少し先にライブハウスがある筈なんだけど・・。」

すると運ちゃんから

「あ、ドラムロゴスね、ロゴスは奥で、Be-1が手前、あそこね。向かいに交番があるあそこね。」
何と指示した訳でもないのにパーフェクトにBe-1の前で止まる。
「ありがとう運ちゃん。」
地下鉄+徒歩だと40分くらいかかって微妙に間に合わないだろうと踏んでタクシーに乗ったが正解だったようだ。呆気ないほど一瞬で着いたし、そこにはバンドTEEの列が出来ていた。

タクシーを降りるとBe-1の整理員らしきにーちゃんが怪訝な顔をして僕を睨む。ふむふむ、なんと30分遅れての入場が今まさに始まったばかりだった。超ラッキーじゃん!。余韻などはない、そそくさと列の最後尾に並ぶ。前は当然のごとくArch Enemy Teeだらけだ。「うぉ〜!来たな!福岡。ウェルカム・ブラックアース!ウェルカム・マイケル・アモット!」

2.タイムトンネルを抜けて

ふと気づけば誰もスーツでは並んでいない。とても違和感バリバリだが今は喜びで溢れている。とにかく着いた〜。Be-1に着いた!

気づけばここは亜熱帯とも思えるほどの都会のオアシス長浜公園。生い茂った樹木と日本じゃ珍しく店先で出す露面店舗みたいなBe-1の物販が奇妙なエキゾチックさで異国情処を醸し出している。そんなリゾート気分も束の間、列はあっと言う間に建物の中へ吸い込まれる。ドラムBe-1入口上部には内照式の箱型照明があり、そこに書かれた公演名「Black Earth」の文字はバンドロゴを書いたウェルカムボードになっており、なかなかの力作だった。
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その入口から中に入ると昭和の香りがする古めかしい通路にカウンターがあり、壁には埃のかぶったマニアックなCDが並べてある。そこを抜けるともうBe-1の箱の中、ここは一気に20年の時を超え、90年代へと僕らを誘うタイムトンネルのようだ。アーチエナミー福岡初上陸、そんな時空のタイムトラベルもたまには良い。

二階にあるロッカールームでスーツからバンドTEEに着替える。今日はKOHAセレクトのスレイヤーTEEだ。荷物をロッカーに押し込んで準備を済ませて1階に降りる。ステージ中央にはダニエル・アーランドソンのドラムが据えてあり、真っ白なツーバスの両方にアーチエナミーのファーストアルバム「ブラックアース」のジャケット「接吻するマスク」がプリントしてある。そしてその両脇にはマーシャルのアンプが並んでいる。かなりシンプルな機器配列になっている。Zeppや大箱で聴くベビーメタルの爆音になれた耳には少し物足りなくもあるくらいではあったが、どちらが正解かと言えばこちらなのかもしれない。何れにしても日常生活ではありえない音であり、耳に厳しい環境であることは確かだ。
 
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3.開演!

スピーカーからはアーチの初期三作からの楽曲が流れている。一体今日はどんな音を聴かせてくれるのか!ここDrum Be-1は広島のクラブクアトロに近い感じがした。クアトロはスタンディング部分と座席部分に分かれているが、丁度キャパ700の箱半分のところで黒幕で仕切ってあり、400位の箱にしていたのでそんな風に感じられたのかもしれない。実際は梅田シャングリラのキャパ400が近いのかもしれない。大阪だから、箱自体パンパンだったからか、大きさの割に大きな印象があった。いずれにせよかなり小さい。

舞台ではローディーが最終のチェックに余念がない。シャーリー・ダンジェロの真っ黒なベースが運ばれていく、続いてマイケル・アモットのギター(ディーン、シグニチャーモデル、ブロッド・ストーム)、クリストファーのギター(キャパリソン、シグニチャー、デリンジャー(白))が運ばれていく。いよいよ開演だ。スピーカーのボリュームが上がり聴き慣れたリフが刻まれる。「エース・オブ・スペード」モーターヘッドだ。「レミー!」一気にテンションが上がる。運ばれたギターが持ち主の手に渡ったようだ。BGMとは比べようもない爆音でギターが鳴る。単なる開演の煽りではあったが、確かにあれはマイケルの音。そうこうするうちに、客電が消え、セカンドアルバム、スティグマータから「ブラックアース」のイントロが流れ始める。ダニエルが位置につき、シャーリー、マイケル、クリストファーがリフの波を奏でながら登場。そしてこのプロジェクトのキーマン、ヨハン・リーヴァが登場する。
 
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4.デスメタル

アーチ・エネミーは1996年の結成時から、流動的にメンバーチェンジを繰り返してきた。大きく捉えるとヴォーカルのリーヴァ、アンジェラ、アリッサの三人の三期で括ることができる。このブラックアースは昨年のラウパ2015で元メンバーのリーヴァとクリストファーを加えた特別編成で登場し、演奏をした。それがとても心地良かったと言うマイケルがアーチエネミーとは別のプロジェクトとしてこのブラックアースをファーストアルバム発売20周年を祝うべく日本ツアーとして。そんな至福の時間に立ち会うことができた。ここ一ヶ月ばかりこの三枚をヘヴィロテで聞いてきた甲斐があったというもの。と言うことでこの公演ではリーヴァ在籍時に発表している初期三作をブラックアースとして演奏する。初期三作は「ブラックアース」、「スティグマータ」、「バーニング・ブリッジス」であり、バンド名称はファーストアルバム名若しくはセカンドに収録の同名曲から取ったものであり、今年ファーストアルバムリリース20周年ということから、当時から支持をしていた日本のオーディエンスを相手に奇跡のツアーを行うと言う発想に至ったのは、当時から変わらぬ支持を示していた僕らに対するリスペクトのあらわれなんだろう。

5.リフの洪水

前から4列目上手からステージを観る。目の前には短髪に白いギターを弾くクリストファー・アモットが演奏している。長い髪のメンバーに囲まれて、クリスひとりが短い。黒の中に1人だけ白とかさ〜、この人の協調性のなさは未だに健在。そんなクリスとヨハンがいるからこの曲ができた。Black Earth。
地響きのようなイントロが印象的なこの曲を聴くことで、なぜマイケルがブラックアースをやりたかったのかが朧げながらにわかったような気がした。
 
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熟達の業師の五人がシューゲイザーのように下を向きながらひたすらリフを奏でる姿は圧巻だった、ARCH ENEMY最大強度の楽曲はこのBLACK EARTHに詰め込まれている。メロディックなのに何処までも乾いたリフが地響きのように幾重にも押し寄せて、圧倒的なヘヴィネスで僕らを漆黒の大海に突き落とす。一曲目から1柵目では横長楕円のモッシュサークルが出来ており、無意識のうちに巻き込まれる。気づいたら真反対の下手二列目へと飛ばされた。そう、マイケル・アモットの前まで飛ばされていたのだ。曲はThe Immortal。激しいリフの応酬であるイモータルに切り替わる。ギターソロではマイケルが前に歩み出てきて来て今にも手を伸ばせば届きそうなくらいの至近距離でソロを弾く。その右側には背の高いヨハンがいて雄々しい雄叫びを上げている。そしてその間を分け入るかのようにしてシャーリー・ダンジェロがオーディエンスを煽る。


マイケルが弾いているのにオーディエンスが見てないと大きな腕を振りかざし、ブンブン回して、声援せよと指示する。まるで牛若丸に仕える武蔵坊弁慶といったガタイの割に、細かな気配りができるコンポーザー的存在。常にしっかり全体を観て行動している。実に信頼の置ける素晴らしい奴、それがシャーリー・ダンジェロだ。Dead Inside。この曲ではクリストファーのソロが光り輝く。会場では激しさが早くも頂点に達してこの段差ありパイプありの会場の1柵目でモッシュ&サーフが繰り返される。あの場所を考えればかなり無理があるのだけれど、ちゃんとサーフィンしている、オーディエンスの心意気に惚れ惚れするよ。

こうして至福の曲が続き、ライブは新たなフェーズに入る。

6.BLACK EARTH!

ヨハンはご機嫌で、「福岡は初めて来た都市だけれど、とても美しい街だ!」と言っていた。スウェーデンから日本に来てライブをするのだ。感慨深いものがあるのだろう。渋谷クラブクワトロに続く2公演目がここ、福岡Drum Be-1なのだから。しかも自分達の20周年を祝うためのライブなのだから。かくもいきの良いオーディエンスがこんな未知なる地方都市に集まって、自分達の歌にモッシュしているのだ。「いいか!今日は僕らの新作BLACK EARTHがリリースされたんだ。祝え〜!」クールな表情が崩れないマイケルもふと微笑むことがある。天を見上げることもある。「行くぞ!ブラックアースだ〜。」ヨハンの号令からファーストアルバムが再現される。

再びリフの洪水が始まる。BLACK EARTH唯一のシングル曲Bury Me an Angelが耳なじみの良いメロディにのってリフを刻む。マイケルとシャーリーの二人で並んで弾いたり、マイケルとクリストファーが並んで弾いたりとノリノリだった。それ故にヨハンがどうしても手持ち無沙汰になる。アーチもギターヒーローのバンドのようにソロが長くて、ヴォーカルがたびたび暇になる。当時はヴォーカル兼ベースをやっていただけに、ちょっと寂しそうだなと思ったけれど、ヨハンの満面の笑みはそのままだった。楽しくて仕方ないのはよく分かるよ、杞憂だったね。

こうしてファーストアルバムを一から演奏をスタートした。

7.怒涛のセットリスト

このジャパンツアーはヨハン・リーヴァ在籍時の初期3作の楽曲演奏するが、特にファーストアルバム「Black Earth」は曲順も変えずに頭から全部やる、そんなセットリストになっている。初日の渋谷クラブクアトロとおなじでした。この割り切り方がかっこいいよね。
ライブも半ばになって突如始まったのはファーストアルバムから唯一シングルカットされた「バリー・ミー・アン・エンジェル」だ。長い航海のスタートを告げる一曲目だった。

リーヴァ「みんな〜、ブラックアースの新譜だぜ〜!」

って言う威勢の良いMCも満更ではない、20年前の曲なのに全く色あせていない、正に今産み落とされたと言っても過言ではない素晴らしいアルバム、それが「Black Earth」だ。

Dark Insanity/Eureka
「ダーク・インサニティ」はアーチのなかでも最強強度のリフとドラムが疾走する。息もつかせぬ重低音が心地よいスラッシュメタルが炸裂する。割と一曲一曲が短く、いつの間にか次に進む。闇に突き落とされたかと思えばまたじわじわと下から押し上げられるようなメロディのユーレカに切り替わっている。マイケルの音楽はどれも目まぐるしく変わる曲調のコーディネートが秀逸だ。

Idolatress
デスメタルと言う範疇の中で、これだけのノイズの中で、これだけ多種多様なメロディを紡ぎだすバンドはアーチ以外いないのではないか。特にこの「アイドレイトレス」のリフとメロディとの一体感は聴くものを圧倒する。

曲とは関係ないが、マイケルを見ているとよく口を突き出す。レモンを食べて酸っぱいっていうわけではないだろうが、ライブ中、そんな表情をよく目にした。お陰でマイケルの真っ赤に塗られたリップと真っ白なドーランが凄く気になってしまった。そんなマイケルとクールなクリスが中央に並んでソロを弾く。シャーリーが全員注目!とばかりにオーディエンスに指示を送る。中々人間味のあるライブで楽しい。


8.意外な相似

Cosmic Retribution
美しいソロの後に再びノイズの爆走が始まる。このベースとなる音のオーラに取り込まれると、感覚が麻痺して、もうなんだかわけがわからなくなるのだが、そんな時にはかならず高音の伸びやかなギターソロが用意されている。奏者はクリス。全くクールにギターを操る。マイケルもクールだが、時折ほくそ笑む姿を観ることが出来てクリスほど無愛想ではない。(笑)そうだ、マイケルの口を突き出す仕草とブラックアースのジャケットの絵が似ている。ドラムについているジャケットの絵とマイケルを見比べた。そういうことなのか?

Demoniality/Transmigration Macabre
ドゥーム的な重くゆったりしたインスト曲「デモニアリティ」から、高速のギター曲「トランスミギュレーション・マーカブル」に切り替わる。ライブは曲の切れ目などあってないようなものだ。ただひたすら続くインプロビゼーションの嵐の中、ヘッドバンキングをする。それがライブでは心地よいのだ。

Time Capsule/Fields of Desolation
轟音の後、泣きのギターをクリスが弾く。そして間髪を入れずにマイケルの怒涛のリフが炸裂する「フィールド・オブ・ディソレーション」。この曲もクリスのメロディアスなソロとヨハンの平坦なグロウルが対比を成し、アーチ初期のヘヴィーな音楽のダイナミズムを生み出す。この幾重にも重ねられた複数の音楽が交互に演奏されて奇跡のパラレルワールドとして1つの音楽に昇華している。

Encore:アンコール

ファーストを演奏し終えバックステージに下がったメンバーにアンコールを求める声援が湧き上がる。真っ暗になった会場が何とかバンドを呼び戻そうと躍起になっている。
そんな僕らの声援の元、笑顔でメンバーが戻り、「ありがとう!」と言いながら最後の航海が始まる。

9.ファイナルヴォヤージュ

Aces High
アイアンメイデンの名曲「Aces High」を演奏する。Arch Enemyがやるとアーチになるんだなと感心した。実はこの曲はファーストアルバムを2007年に再リリースした際に追加収録された曲の1つだ。こうしたカバー曲もしっかりArch Enemy節が炸裂していて原曲が邪魔をしない、流石である。思わずモッシュに参加して、お祭り的な盛り上がりとなった。

Beast of Man
しかし、こうした名曲カバーも瞬殺してしまうほどブルータルなリフが気持ちよい。やはりオリジナル曲のパワーは圧倒的なのだ。「ビースト・オブ・マン」が全てを塗りつぶす。もうどんなリフが流れてきてもわからないんじゃないか。怒涛の爆音を仰ぎ見る。

Silverwing/Bridge of Destiny
「シルバーウィング」この曲も相当激しい曲なのだが、このライブにおいてはもっとも聴きやすい曲なんだろう。
最終曲へのプレリュード。そしてブリッジ・オブ・デスティニー

前半のブルータルなリフ攻めに対して後半のメロディアスなギターソロが恐ろしく美しい。このインプロビゼーションArch Enemyならではの至高の芸術だと思う。この曲を弾き終え、メンバーはバックステージに下がる。楽器を置いたメンバーがステージに戻ってくる。皆んなで肩を組んでお辞儀をする。鳴り止まない歓声、お約束のオーディエンスをバックにした集合写真、マイケルはこのジャパンツアーのために作ったピックを一枚一枚丁寧に手渡す。クリスもヨハンもオーディエンスとタッチ祭り。そうして下がるもオーデエンスの拍手は止まない。客電が五分も遅れてついた為、皆んながんばったね。今まで見た中で一番圧縮のないライブだったけど、熱いライブだった。是非Black Earthとしてのライブを続けて欲しいな。そんなライブでした。
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TMの青年時代

OD:「メタル聴くんだって?」
TM:「ああ、アクセプトな。今度ロシアンルーレットツアー行くんだ。」
OD:「すげーな。ところでジャパメタは聴かないのか?」
TM:「ああ、聴かないね。」
OD:「ちょっと連れないな。いや、ライブにいきたくてね。こっちはインディーズだからさ、ホールじゃなくてライブハウスなんだけどよ。行こうぜ。」
TM:「どんなバンドがいるの?」
OD:「いろいろいるんだけど、今狙っているのはリアクション。INSANEが良いんだよ。」
TM:「Are You Free Tonightっていいじゃん、じゃあ、アルバム買ってみるわ。」

そんなんでアルバムを聴きこみ、ODと一緒にクラブチッタ川崎まで足を運ぶ。人生初のライブハウス。圧縮と熱気と酸欠が半端ない。(ベビメタほどじゃない。)Joy Rideがやや一本調子なのを除けばなかなか良いライブだった。酸欠で外に出るとODがいた。へばっていた。

TM:「早いな、やけに早くないか?」
OD:「お前、前に行ってなかったか?よく行けたな。」
TM:「ああ、JUNYAみたかったんでさ、朝の小田急乗ってればあれしきわけないさ。ただ、最前は空気薄いし、とても長居はできなかったよ。JUNYAファンの女の子はずっと最前だったみたい。あれすごいな。」
OD:「それに比べたら大したことないな。俺なんて後ろでも無理だった。」
TM:「まあな、仕方ないな、サバイブする術を知らないし。でも初めてのライブハウスだったけれどなかなか良い経験だったよ。外タレはでかいホールばかりだから。」
OD:「また行こうぜ。」
TM:「OK」

ODを通してジャパメタ遊びを学んだ。ただあまり、そっちには行けなかった。ヤングギター、ロッキンfBURRN!を見て、特にレビューで知ったバンドを中心に聴いていった。
W.A.S.P.、Iron Maiden、Accept、Def Leppard・・、ライブの魅力は見聞きしていたけど、やはり実際の音は自分が聴かないとわからない。ライブはまるで別物だった。特に席によってあんなにちがうなんてね。東京ドームは席も悪く、音質が最低だった。決してDef Leppardのせいじゃないのだが、ひどかった。ヒステリアをあのスタンド席で聞くことが間違いなんだけどさ。ガンズは同じ場所なのだがアリーナ席だったこともあって割りによかった。音もシンプルだったし。そんなライブ三昧な記憶が僕の青年時代だったな。
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TMの少年時代について

中学生の時、とある友達と知り合う。彼は一人っ子で、考え方が利己的でクラスに馴染んでいなかった。実は小学校でも同級だったが、接点もなく遊ばなかった。そんな彼がひょんなことから遊び仲間に加わることになった。

MR:ウチにさ結構いろんな音楽を録りためているから聴きに来ないか?洋楽なんだよ、洋楽。
TM:音楽?歌謡曲かい?なんだ?そのヨウガクって?サントラ?

そんな呆けた会話がキッカケで洋楽の世界に嵌り込んでいった。初めはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのリラックスが好きでよく聞いていた。結構MRがよく録り溜めていたのでかなりの音楽がそのテープで聴けた。そこを足がかりにポリス、ジェネシスカジャグーグー、ZZ TOPなどの音楽に染まる。まあ、染まるって言っても、ガキでアルバムもロクに買えなかったからラジカセでエアチェックだった。はじめはモノラルのスピーカーが一つしかないボロボロのラジカセを死ぬほど酷使した。終盤はカセットテープを入れる部分が壊れて、差し込み式になった。ハイポジとかメタルエディションとか以前の問題だったな〜。
そして遂に、スピーカーが2コついたステレオ、重低音のどデカイラジカセを買ってきた。中学生で一番の買い物だった。おかげでエアチェックの質が向上した。リバースも自動でするし手間が省ける。(笑)そんなことで、FMファンだとかFMステーションなんかを買って特集物を徹底的にマーク、チェックして録りまくった。何故かカセットテープは手にはいったから手当たり次第に録った。
高校になり、学校が遠くなった。乗換駅にドイトがあって、中古盤屋が入っていて、フォーリナーとかジャーニーとかが二束三文の価格で買えたので毎週漁りに行った。その頃、テレビでは白と黒に唇と言う前衛芸術みたいなTOTOのアルバム、アイソレーションのCMがガンガン放送されていた。やはりエアチェック主体だと超メジャーなものがどうしてもメインにならざるを得ない。そんな中高校で、悪友2人に巡り合う。1人目ははSK。

SK:おめー、どんな音楽聴くんだ?
TM:TOTOとかプリンス。
SK:おめーがプリンスだ?
TM:うん、1999をエアチェックしてね、凄く気に入ってる。
SK:プリンスはやっぱり、パープルレインだよ、そして、リトル・レッド・コルベット。おめーにはわからないだろうがな。
TM:そんなに言うなら聴かせてくれ。カセットテープに入れてくれ。120分のカセットを渡した。すると数日後、カセットを持ってきた。

SK:裏にも入れといたから。
TM:ありがとう。

家に帰って聴いてみる。するとレコードの針が落ちる音から始まって、
「ハイディハイド-ハイダ、ハイディハイドーハイダ ハイディハイドハイダ、ハハハハハハハ」と懐かしい(様な)音楽が流れたかと思うと、いきなりハイトーンの叫び声が「アー」とはいる。衝撃的な音楽「Fast As A Shark」Acceptとの出会いである。

翌日
TM:「なんだよあの音楽。」
SK:「やっぱりお前にゃ理解出来なかったか。」
TM:「めっちゃかっこいいじゃんか、なんてグループだよ。」
SK:「お前にゃ無理だよ。無理すんなって、アクセプトが分かるはずがねえ。」
TM:「そんなこと言わないで教えろよ。」
SK:「じゃあ、これ聞いてみ。」
TM:「メタルハート?」

それから怒涛のごとく奴のテープをダビングして聴く。

SK:「とっておきの一枚がこれ、Defenders of the Faith 、ジュダスプリーストだ。」
TM:「Accept、Iron Maiden、Judas PristでなんでPurple Rainなんだよ。」
SK:「そこがお前の愚かしいとこなんだ。」
TM:「さっぱりわからん。」

当時は全くメタルなんて知らなかったから、マジでどれほどの物なのかは分かるはずもなかった。ネットなんてなかった時代だからね。中古レコード屋や貸しレコード屋にメタルコーナーが出来て置いてあったのを毎週チェックした。Walls of JericoからのRide the Sky、Helloweenを見つけた。それからは週一で通っては掘り出し物を探した。それが僕の懐かしい少年時代の良い思い出だ。
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