ドラゴンフォース 広島公演報告

2015年9月5日、広島にドラゴンフォースがやって来た。広島公演は2006年、2010年とドラフォが毎回ジャパンツアーの口火を切る場所でもあり、BABYMETALとはまるで関係なかったが、公演自体は想定外に演技者側も受け手側もノリノリでとても良いライブとなった。小箱っていいね!

クラブクアトロ広島はクラブクアトロ渋谷の800人に次ぐ、700人のキャパがある割と大きな箱なのだが、なぜか固定のシート席があり、使えないくうかんとなっていた。スタンディングのみの本公演にはつらい場所となっている。結局、シート席部分は黒い暗幕で区切られてなかったことにされているのが痛い。おかげで、箱は約400名程度のぱんぱんな箱となっていた。ほぼ満員で、その場的にはありな気がした。

 

BGMが流れる。ハイボールを片手ににゆらゆらと頭を揺らすと心地よい。メタリカメガデス等の曲を流していたので、スラッシャーを自称する僕にはよい心地だ。そんな悦に入った時間が過ぎ、曲がミニストリーNWOに曲が変わったところでボリュームが一気に上がる。すると曲はメロディアスな打ち込みのイントロに変わる。
ドラムのジー・アンザローネ、キーボードのヴァージム・ブルジャーノフが走って登場し、続いてハーマン・リー、フレデリック・ルクレルク、サム・トットマンの順で各ポジションにつく。一気にボリュームが全開となりTomorrow's Kingsのイントロがはじまる。ボーカルのマーク・ハドソンがセンターに現れMaximum Overload のJapan Tour 2015が幕を切った。

 

1.Tomorrow's Kings

開場の時間が遅れたにも関わらず開演はオンタイムで始まった。僕のチケット番号は233番だったし、はじめは10列目くらいだったけど、ドセンでステージと4mの距離だった。めっちゃ見やすいわ、音いいわで最高だった。ドラゴンフォースは目まぐるしくステージ上でポジションを変える。曲が始まると直ぐに長いソロパートがやってくるため、目の前で一つのお立ち台の上に立ったサムとハーマンのギターの掛け合いが始まる。サムー!ハーマン!

なんと言ってもハーマンのビョーンと弦を持ってギターを落としてももで蹴り上げるパフォーマンスが圧巻なんだ〜。よく落として、機嫌が悪くなるのだが、今日は全部成功。さすがはイケメン!ハーマン・リー。

 

2.Fury of the Storm
しかし、1人そんな素晴らしい小技を馬鹿にするものがいる。それは相方のサム・トットマンだ。ハーマンの演奏を聴いて、サムはアクビしたり、ダメダメと手を左右に振ったりしておどけたアメコミの悪ガキのごとく挑発する。続くサムのソロ演奏にハーマンがなんじゃこりゃ、下手っぴと言わんばかりにへの字口で仕返しをする。とにかくサムのアクションがお茶目だ。バッキングの単純ルーティン作業では、余りに退屈とばかりに呆れた格好で引き続ける。いかにもめんどくさくて堪らないといった悪ガキの表情と仕草でプレイする。まるでコントを観ているかのようだ。あらゆる場所から手を出して変則的にギターを弾いてみせてはアクビをする。観ているだけで楽しい。なんなら後ろ向きで、横向きで!弾きましょか?ってサービス満点で飽きさせない、それがサム流の礼儀だ。

 

そしてベースのフレデリックはあんなにいかつい顔をしていながら、最前に並んでいる女の子たちがメロイックサインを送ろうものなら満面の笑みで顔を赤らめる。男が拳を突き上げると凛々しい怒りのファイティングポーズを取り、まるで大魔神のごとし。フレデリックの表情も愛らしくて、サム同様、見ていて楽しくなる。

ヴァージムもキーボードの所で飛んだり跳ねたりせわしなく動き回っているのだが、ついに肩掛けキーボードに持ち替えて最前の4人に加わってギターを真似たパフォーマンスでアピールする。

3.Three Hammers

ドラフォの中でダントツに若くて、かっこよくて、声がいい。ボーカルのマークハドソンがまじで魅力的。全く外さないし安定感がある、真面目で忠実にきっちり歌い込む、メンバーも加入してまだそれほど経っていないマークに少し神経を使っているように見えた。サムはマークにこまめに休憩を促す。いいボーカリストだし、煽り方が上手い。細かな気遣いがあるし、日本語も大分勉強しているようだ。
ふと舞台の袖でサムが腕を組んでいるのを見つけた。オーディエンスを見て首を振っている。僕らの盛り上がりが足りていないことに不満があるようだ。

4.Operation Ground and Pound

サビのメロディがめちゃ綺麗で一気にもってかれる。こんな楽曲がドラフォには多くて舞台でもかなり盛り上がるナンバーなのだ。サムがマークに指示をして、みんなにジャンプを促す。ジャンプだ!ジャンプだ!みんなジャンプをしよう!。

 

5.Black Winter Night
ドラフォの良さはやはりライブの醍醐味。全員がフロントマンとも言えてしまう個性と楽しげな雰囲気に満ち溢れている。アルバムを聴いている時はそれほど良さが感じられなかった楽曲でもライブではかなり盛り上がるナンバーになる。お陰で完全にファンになってしまった。

マークからの指ぐるぐるの指示が出る、瞬時に観客がサークルモッシュをスタートする。この狭い場所で3つ?。岩国から来たと思われるマッチョな米兵たちが暴れまくる。「お前ら、ここに何しに来たんだ?」と叫びまくりモッシュが展開される。米兵がどんどんサーファーを観客を頭上にあげる。ひょっとしたらドラフォのスタッフ?小さい箱故の高揚感が止まらない。堪らない。

6.The Game

この曲のように変調を繰り返すのがドラフォの特徴。ボーカルがどれだけ大変かがうかがい知れる。頭の上のサーファーを交わして容赦なくタックルしてくる外人に応戦を開始する。

7.Symphony of the Night

舞台ではアカペラから始まるこの曲の背後で、オーディエンスの焚付けに成功したサムとハーマンの表情が緩む。サビの部分はどの曲もそうだけど歌いやすい、シンガロングしやすい。終始大合唱、マーク隊長の指示のもと拳をみんなで突き上げたり、メロイックサインをしたり、はたまたジャンプをしたりしてなかなか楽しい。

 

8.Seasons

他のライブではこのSeasonsで始まることが多く、予想はこの曲が一曲目だと思って疑わなかった。ドラフォの楽曲にしては珍しくノーマルな構成の曲なんだけど、ライブじゃ、ガンガン来る感じかな。みんなで跳ねる跳ねる。

 

9.Heroes of Our Time
ベビメタだとなかなか難しいけど、ドラフォだとこの距離感で観ることができる。もう超絶なんだ〜とか感動している中でなんとイケメンがやっちゃった行為とは?。ギターの舌弾き。舌押さえで弦を舐めまわす。滴る唾がねとーっと滴るところまで見える。汚たねー!見たくねー!

 

10.Cry Thunder

ドラフォ最大のシンガロングソング。マークが観客に話す。「ここは広島だ、これから僕らは日本をツアーで回る。次は大阪、続いて名古屋、そして東京と回る予定だけれど、どこが一番盛り上がるかな〜。広島!一番になりたいとは思わないのか〜?」なんて煽りをかまされる。絶叫と圧縮が最大でかなりキツイ状況のなかで、メロイックサインを送りながらシンガロングする、「クライ・サンダー!。」

 

11.Valley of the Damned

この曲が終わると一段落。本編終了でOne More Song!Dragonforce!の大声援が巻き起こる。小さい箱は機動性が高く、一体感が半端ない。

 

Encore:

12.My Spirit Will Go On
アンコールに入って一曲やってから、次はなんの曲をやるのかの寸劇を繰り広げる。サムがフレデリックにベースラインを弾かせる。いきなりジャズを弾き始めてサムが「No!No!」と言う、なんだ違ったか〜、とドリームシアターをやり始める。サムは「Dreamtheater?No!」のオーバーアクションで曲がジョニーキャッシュのリング・オブ・ファイヤーに決まる。ハーマンはそんな中で忙しくバックで動き回る。こんな一コマがドラフォの魅力の旨味となる。

 

13.Ring of Fire (Johnny Cash cover)

そんなちょっとしたコントを経てカバー曲がプレイされる。そして遂にドラフォ最強のナンバーで締め括られる。

 

14.Through the Fire and Flames

サム、ハーマン、フレデリック、ヴァージムの四人がサークルになり、隣の人の弦やキーボードを押さえて演奏をするというキテレツな荒技をもやってのけた。メンバーの仲のよさが半端ない。悪ガキ集団ドラフォの憎めない楽しい魅力が全開で広島公演に幕が下りた。

 

広島公演は北京からの移動したその日にあった。フレデリックのツイートで分かるように、3時間しか寝てないと聞いていたので、ここまで全力なパフォーマンスは無理と思っていた。流石に若いバンドだ。想定以上のパフォーマンスを披露してくれたドラフォには感謝しかない。素晴らしいステージだった。

ありがとう!ドラフォよ!また来いよ!また行くからね!

MCの魅力、SiMの魅力!

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SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.1

ベビーメタルを語る上で重要な文献として「KOBAMETAL SELECTION BABYMETALを紐解く29枚のラウド/メタル・アルバム(+1枚)」と言うヘドバン1号の中に載っているメタルアルバムの紹介記事を以前、BMの楽園内、メタル学院9学期549-551(2016/2/13)にPVリンク集として投稿しましたが記憶に残っていますか?
興味深いのが、そのリストは単なるメタルセレクションではなく、大きな意味におけるラウドロック的なセレクションになっていて、特にリストの後半は僕的に全く未知のバンドが並んでいました。その記憶が鮮明に残っていて頭の片隅に保留にしていたのですが、その中でもかなり気になっていたバンド、SiMのライブをたまたま先日観る機会が出来たので、勇んで観てきました。このライブはインディーズバンドのWANIMAとの対バン形式でのライブでもあり、2バンド3時間近い公演でした。WANIMAはHi-Standard横山健が主宰するPIZZA OF DEATHレーベルの看板バンドです。以下にそのライブレポートを載せます。このバンドのサウンドの中にもベビーメタルがいるわけで深いな〜と思いました。
長いですがお付き合いください。

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SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.2

WANIMA

メンバー:
KENTA(Vo,B)
KO-SHIN (G)
FUJI (Ds)

正直全然知らなかったバンドで、何の事前情報もなかった。前座の1バンドだろうくらいな認識で当然1番後ろに陣取りをしていました。今日此処にいる理由はSiMを聴く為ですから、まずはお手並み拝見です。
客電が落ちてWANIMAのバンドメンバーが登場する。光真(G)と藤(Ds)が暗がりの中位置につき、スポットを浴びながら健太(Vo.B)が登場する。まず感じたのが3人とも笑顔が眩しいこと。そしてボーカルがおっちゃんなこと。(笑)でもまだ二十代のデビューしたばかりのバンドだ。(うそ〜、信じられない。)くまモンのぬいぐるみがスピーカーにのっていることから分かるようにWANIMAは熊本出身のバンドだ。だから熊本地震には敏感だし、このライブが払い戻し可能公演になったのも関係がありそうだ。熊本地震の為に来れなかったファンの為の措置が早くから講じられているのには感心した。しかし、吉本ちゃうか?って思うくらいの笑えるMCが最大の売りだろう。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.3

健太「このコンサートとは・・ちょっと待って、あった、あった、えーと、SiMのザ・ビューティフル、・・ピープル・・、ツアー2016ですね。(読みにくそうに)SiMファンのみんな〜!ありがとうね!SiMも呼んでくれてありがとう〜!じゃあ一曲目はサンクスで行くから聞いてください!」

めちゃ親しみやすいノリのバンドで、健太のボブ・マーリーみたいな佇まいも悪くないなと感じた。

1.THANX
https://m.youtube.com/watch?v=lBFI99Y14mc

見た目と違い中々良い声のヴォーカルで曲もかなりキャッチーでPVよりもベース、ギターがギンギンにかき鳴らされていてカッコよかった。ライブだもんね、こうじゃなきゃね。

2.雨上がり
https://m.youtube.com/watch?v=tuWhxhrWk70
アジアン・カンフー・ジェネレーションに近い作風にPVは感じるが、ライブではもっとヴォーカルがパワフルで個性的に感じた。

3.バンザイ〜好きでよかった〜
ウルフルズのカバー曲。そう言えば似た感じのバンドではあるな〜。横山健にしろ、SiMにしろ、レゲエテイストが感じられるのは何なんだろう。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.4

健太は帽子フェチの様でめまぐるしく帽子を替える。SiMから帽子を貰ったようで、そこでもふざけながらも、熊本のこと、九州のこと、勿論SiMのことをリスペクトしていることを熱く語る。ドラムの藤くんが長渕剛(兄貴)の真似で、乾杯を歌うサービスがあり、後で思わぬ連鎖がありました。とにかくメチャメチャ明るいバンドじゃん。

4.リベンジ
https://m.youtube.com/watch?v=xRaHgQ3yjAo
メロコアで、レゲエチックと言えばRANCIDだけど、まさにこの曲はそんなかんじ。SiMはそう考えるとペニーワイズ的とも言えなくはないかな?所謂エピタフ系のサウンドですね。

5.いいから
https://m.youtube.com/watch?v=iyt3NL1V70A
まあ、とにかく差し込まれるMCが楽しくて沖縄っぽい南国風な雰囲気も感じられて、すがすがしい。このハイトーンヴォーカルもしびれたね。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.5


6.TRACE
https://m.youtube.com/watch?v=Em-d1f55NPg
ここでセンターに通路を作るかのごとくにオーディエンスのど真ん中に二分にするスペースをつくるように健太から直接指示が出る。この全体的な移動を利用して最後尾から前に出てWall of Deathに参加する。

7.BIG UP
https://m.youtube.com/watch?v=sr0CLdJnjnI
どの曲も非常にキャッチャーなんだけれどこの曲はとにかくWANIMAの良さが1番出たメロコアな曲になっている。

8.Hey Lady
https://m.youtube.com/watch?v=SIw09h4srwg
9.Hey yo
しっとりとしたバラード。リップスライムに雰囲気が似ている。
10.1106
PVで聴くと4や7の様にモロBad Religionメロコアだったり1や6の様にアジカン的なパワーポップだったりとテイストが異なるのだけれど、ライブはやたら明るいメロコアになっていて違和感なく楽しめた。SiMの為に体を温めるのには十分すぎる良質なバンドだった。ありがとうWANIMA。

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SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.6

ステージ替えの時間で一気に2柵目に移動する。僕はZepp福岡では常にここにいた、ある意味思い出の2柵目なのだ。くぅ〜、かっこいい〜。たはは。
SiM
メンバー:
MAH(Vo)
SHOW-HATE (G)
SIN (B)
GODRi(Ds)

客電が落ち、歓声に包まれる中でメンバーが登場。SCiENCE iz MiNEと書かれた背景の前にメンバーが現れる。SiMの登場だ。やはり存在感が圧倒的だ。

1.NO FUTURE
https://youtu.be/oAf4IW5eSWM
新作「THE BEAUTiFUL PEOPLE」から1番激しいナンバーでスタートを切る。会場では頭から激しいモッシュが始まる。若者やるな〜。下は高校生学ランできている奴らもいる。見た目が子供で正直親目線だ〜(苦笑)。ここはサークルモッシュではなく正にワサワサする押し合いへし合いのモッシュだ。やはり応援の仕方はそれぞれだな〜。ベビーメタルとはまるでちがう。

 

2.THE KiNG
ライブはメロディ部分がほぼ消えるのでこの曲もまたがっつりモッシュモッシュ

3.MAKE ME DEAD!
https://m.youtube.com/watch?v=DHQSXYNdcF8
新作しょっぱなに収録のノリノリの楽曲MMD!ここでキツくて一旦端に抜ける。
4.Abel and Cain
ジェフリー・アーチャーの小説にインスパイアされたのかは知らない。ただコイツら激しいな〜と息を整えた。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.7

5.CROWS
https://m.youtube.com/watch?v=cWPoczvmFQo
「お前ら、歌えるか〜?」
新作からシングルカットされた曲とあって会場の暴れ方最高潮!モッシュ最高潮!再度モッシュジョイント。死んだ〜。

6.GUNSHOTS
https://m.youtube.com/watch?v=544wv3U1RII
流石に退出者多数。僕も端に寄り呼吸を整える。
7.Amy
https://m.youtube.com/watch?v=k5eNRgAhHqk
ミニアルバムにしか収録の無い初期の楽曲。

と、ここでMCが入る。
MAH「今日ここに集まってくれたみんなが一体どんな想いがあってきたのかは知らない。でもそんな事は気にしちゃいないんだよ。爆音が好き、ヴィジュアルが好き、誰かについて来ただけ、理由はもうどうでもいいけど、今ここにいて、僕らの音楽に合わせて身体を揺らして、そのみんなそれぞれの想いを僕らに少しでも見せてくれたらSiMは全て受け入れます。大きな意味でずっとSiMのファンでいてください。お願いします。」
ん〜、なかなか面白いMCをする。熱い!

8.I Hate U
セカンド「SEEDS OF HOPE」からの激しいナンバー。ベビーメタルのオマージュ元として聴きたかったから満足。
9.I DUB U
新作の中ではわりにしっとりとしたレゲエナンバー。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.8

10.If I Die
11.Paradox
復活した観客を前に異常事態が起こる。MAHのイヤモニが故障。

MAH「ごめん、チョットこれ壊れちゃったから家に帰るわ〜。」

会場から失望の声が上がる。

MAH「ごめん、と言うかマジで壊れたので、ここはSHOW-HATEにステージは任せるから何か話しておいて。」とマイクを渡して舞台袖に引っ込む。イキナリの事態にSHOW-HATEは顔面蒼白。頭の中が真っ白。本当にアクシデントの様で「何話そうか〜?」と言うばかり。そこで、どうにもならない空気を読んだ会場からGODRiコールが起こる。
GODRi「良いけどさ、なにする。長渕するか。」

となって会場からリクエストのあった「とんぼ」が始まった。 Show-Hateはホッとして、ゴリさんはサングラスをかけてトンボを演奏する、男だ、かっけー。

12.とんぼ(長渕剛COVER)

MAHがそんな中戻ってきて、水を飲んだりしてその様を見学する。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.9

MAH「皆んな、これ以降は払い戻しできないからね。(笑)って言うか、何、お前達後輩のネタパクってんだよ。先輩バンドとして立場ねぇじゃん。で、SHOW-HATEは何話したんだよ〜?」
会場「内容はなかった!(きっぱり)」
MAH「おめー、味方のファンから内容がなかったとか言われてんじゃないよ〜。ったく。(苦笑)」
なかなか仲が良いバンドでもある、もう少しMCできてもいいけどね。

13.Dance In The Dark
MAH「熊本で地震があって、今回予定していた福岡、長崎、宮崎の3公演は払い戻し可能ライブとして今日、ここなきたんだけど、宮崎公演は延期に決まった。この延期は直ぐにとはいかない。非常に残念だけれど、僕らは今ある公演に全力で成功させるようにすべきだと感じている。この福岡と長崎をまずは成功させる。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.10

で、実はここZepp福岡もなくなるってことで、じゃあ、次に来るのは何処かってなるんだけれど、ドラムロゴスかな?」
会場「ドーム!」
MAH「それは無理。無理だって〜。」
TM「マリンメッセ福岡!」
MAH「マリンメッセか〜、あん時はONE OK ROCKがいて、悔しかったな〜。Zeppって、復活しないの?」
会場「するよ!(複数人から)」
MAH「それだけ自信たっぷりにこれだけの人が言うんなら、やるか九州ツアー。」
会場「おー!」
MAH「何処に行くか?」
会場「山口」
MAH「おい、おい、山口は九州でいいのか?山口はフェスにでるからいいだろう、ヤバっ。(苦笑)」*未発表WILD BUNCH FESTIVALへの出演。
会場「鹿児島。」
MAH「鹿児島ね。」
会場「沖縄。」
MAH「なるほど、じゃあ、佐賀はどうするか?佐賀から来た人どれくらいいる?」
会場「佐賀に来て!(10人くらい)」
MAH「結構いるな、でも、前回行った時は全然だったけど・・。じゃあ、来年、九州ツアーをやろう!俺はやると言ったらかならずやるから。あと今年、横浜アリーナでライブを決めているから、是非九州からも来て欲しい。地元は地元でまた全然違うから。俺たちのやっているDEAD POP FESTIVALもあるから、是非来て欲しい、お願いします。」

なかなかMCが面白い。MCの妙技でかなり魅了されている。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.11

14.Blah Blah Blah
https://m.youtube.com/watch?v=0rvqWa8Mnsg
心なしかみんな動きが止まっている。流石に厳しいよな〜。

15.f.a.i.t.h
https://m.youtube.com/watch?v=yC4Cs3O6GA8
この辺りはモッシュも無くなりMAHにディスられることに・・。
ここでオーデエンスの動きが悪くなっていることを感じたMAHがMCを入れる。
MAH「分かる!柵があるから難しいことは分かる。しかし、福岡〜、今まで行った中でモッシュが1番小さいな〜。こんだけ?。(指で大きさを示す。)」

そう言ってから後ろを向いて会場に向かって言う。

MAH「振り返ったら、さぞや凄いことになっているんだろうな〜。相当すごいことになっているんだろうな〜。」とゆっくりと話して笑う。

流石に皆、若いだけあって反応が早い、さっきWANIMAの時にやったようにサッと会場中央に3〜4m程の幅の道をステージからミキシングボックスの前まで作る。Zepp福岡にしてはデカイ!それを見てMAHも「おー!凄い、凄い、分かった、分かった今の所最大だ〜!認める。(笑)」って笑う。そしてWall of Deathがはじまる。

 

SiM/WANIMA対バンライブ
THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR2016
at Zepp福岡 / 2016年4月28日

vol.12

アンコール

ファンが若いのが影響しているのか?アンコールが揃わない、いまにも消えそうなアンコールでなんとか途切れさせないようにするのが精一杯だった。まあ、何とか繋ぐことができた。

MAH「さっきWANIMAの健太が非常に読みにくそうにしていたTHE BEAUTiFUL PEOPLE ってのは俺が考えたタイトルなんだけれど、俺が言っているから単純じゃなくて、どんなに素晴らしい人でも醜い面は持っているだろうし、どんなに醜い人でも素晴らしい面がある。そんないろいろなひとの素晴らしいところを称してTHE BEAUTiFUL PEOPLE と言っているんだ。これから歌うLiFE iz BEAUTiFUL.って歌はかなり暗い曲だけれど、俺が初めて自分の事を上手く語れたそんな曲だ。是非聴いて欲しい。」

16.LiFE iz BEAUTiFUL
https://m.youtube.com/watch?v=-zHmXh5ARuQ 17.EXiSTENCE
https://m.youtube.com/watch?v=UG0WMZmkbm4 18.KiLLiNG ME
https://m.youtube.com/watch?v=vyUMYYc8lxU

17:30に入場して18:30から始まったライブは21:30に終了した。ベビーメタルに比べるとロッカーも、物販も凄くゆったりとしている。ライブが終わると全身ずぶ濡れなので、着替えて帰路につく。新境地を開くライブはなかなか素晴らしいものだった。また気になるバンドがあれば行って観てみるつもり。

THE END

マイケル・アモットに会ってきた!

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Black Earth Japan Tour 2016
Live in Drum Be-1,Fukuoka
2016.05.19

1.いざBe-1へ!

平日のど真ん中の19日、とにかく急いでタクシーに乗り込む。時刻は18:20。開場時刻はとっくに過ぎている。会社を適当な理由を付けて飛び出してきた。まだ洋服はスーツのまま。「どうしようかな〜?」なんて呑気に鼻歌を歌っている内にタクシーは長浜公園に着く。「お客さん、この辺でいい?」真昼間の親富孝通りはなかなかのカオスだった。なんか陽気のせいもありバンコクトゥクトゥクにでも乗って移動しているかの様な錯覚がした。

「いや、もう少し先にライブハウスがある筈なんだけど・・。」

すると運ちゃんから

「あ、ドラムロゴスね、ロゴスは奥で、Be-1が手前、あそこね。向かいに交番があるあそこね。」
何と指示した訳でもないのにパーフェクトにBe-1の前で止まる。
「ありがとう運ちゃん。」
地下鉄+徒歩だと40分くらいかかって微妙に間に合わないだろうと踏んでタクシーに乗ったが正解だったようだ。呆気ないほど一瞬で着いたし、そこにはバンドTEEの列が出来ていた。

タクシーを降りるとBe-1の整理員らしきにーちゃんが怪訝な顔をして僕を睨む。ふむふむ、なんと30分遅れての入場が今まさに始まったばかりだった。超ラッキーじゃん!。余韻などはない、そそくさと列の最後尾に並ぶ。前は当然のごとくArch Enemy Teeだらけだ。「うぉ〜!来たな!福岡。ウェルカム・ブラックアース!ウェルカム・マイケル・アモット!」

2.タイムトンネルを抜けて

ふと気づけば誰もスーツでは並んでいない。とても違和感バリバリだが今は喜びで溢れている。とにかく着いた〜。Be-1に着いた!

気づけばここは亜熱帯とも思えるほどの都会のオアシス長浜公園。生い茂った樹木と日本じゃ珍しく店先で出す露面店舗みたいなBe-1の物販が奇妙なエキゾチックさで異国情処を醸し出している。そんなリゾート気分も束の間、列はあっと言う間に建物の中へ吸い込まれる。ドラムBe-1入口上部には内照式の箱型照明があり、そこに書かれた公演名「Black Earth」の文字はバンドロゴを書いたウェルカムボードになっており、なかなかの力作だった。
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その入口から中に入ると昭和の香りがする古めかしい通路にカウンターがあり、壁には埃のかぶったマニアックなCDが並べてある。そこを抜けるともうBe-1の箱の中、ここは一気に20年の時を超え、90年代へと僕らを誘うタイムトンネルのようだ。アーチエナミー福岡初上陸、そんな時空のタイムトラベルもたまには良い。

二階にあるロッカールームでスーツからバンドTEEに着替える。今日はKOHAセレクトのスレイヤーTEEだ。荷物をロッカーに押し込んで準備を済ませて1階に降りる。ステージ中央にはダニエル・アーランドソンのドラムが据えてあり、真っ白なツーバスの両方にアーチエナミーのファーストアルバム「ブラックアース」のジャケット「接吻するマスク」がプリントしてある。そしてその両脇にはマーシャルのアンプが並んでいる。かなりシンプルな機器配列になっている。Zeppや大箱で聴くベビーメタルの爆音になれた耳には少し物足りなくもあるくらいではあったが、どちらが正解かと言えばこちらなのかもしれない。何れにしても日常生活ではありえない音であり、耳に厳しい環境であることは確かだ。
 
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3.開演!

スピーカーからはアーチの初期三作からの楽曲が流れている。一体今日はどんな音を聴かせてくれるのか!ここDrum Be-1は広島のクラブクアトロに近い感じがした。クアトロはスタンディング部分と座席部分に分かれているが、丁度キャパ700の箱半分のところで黒幕で仕切ってあり、400位の箱にしていたのでそんな風に感じられたのかもしれない。実際は梅田シャングリラのキャパ400が近いのかもしれない。大阪だから、箱自体パンパンだったからか、大きさの割に大きな印象があった。いずれにせよかなり小さい。

舞台ではローディーが最終のチェックに余念がない。シャーリー・ダンジェロの真っ黒なベースが運ばれていく、続いてマイケル・アモットのギター(ディーン、シグニチャーモデル、ブロッド・ストーム)、クリストファーのギター(キャパリソン、シグニチャー、デリンジャー(白))が運ばれていく。いよいよ開演だ。スピーカーのボリュームが上がり聴き慣れたリフが刻まれる。「エース・オブ・スペード」モーターヘッドだ。「レミー!」一気にテンションが上がる。運ばれたギターが持ち主の手に渡ったようだ。BGMとは比べようもない爆音でギターが鳴る。単なる開演の煽りではあったが、確かにあれはマイケルの音。そうこうするうちに、客電が消え、セカンドアルバム、スティグマータから「ブラックアース」のイントロが流れ始める。ダニエルが位置につき、シャーリー、マイケル、クリストファーがリフの波を奏でながら登場。そしてこのプロジェクトのキーマン、ヨハン・リーヴァが登場する。
 
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4.デスメタル

アーチ・エネミーは1996年の結成時から、流動的にメンバーチェンジを繰り返してきた。大きく捉えるとヴォーカルのリーヴァ、アンジェラ、アリッサの三人の三期で括ることができる。このブラックアースは昨年のラウパ2015で元メンバーのリーヴァとクリストファーを加えた特別編成で登場し、演奏をした。それがとても心地良かったと言うマイケルがアーチエネミーとは別のプロジェクトとしてこのブラックアースをファーストアルバム発売20周年を祝うべく日本ツアーとして。そんな至福の時間に立ち会うことができた。ここ一ヶ月ばかりこの三枚をヘヴィロテで聞いてきた甲斐があったというもの。と言うことでこの公演ではリーヴァ在籍時に発表している初期三作をブラックアースとして演奏する。初期三作は「ブラックアース」、「スティグマータ」、「バーニング・ブリッジス」であり、バンド名称はファーストアルバム名若しくはセカンドに収録の同名曲から取ったものであり、今年ファーストアルバムリリース20周年ということから、当時から支持をしていた日本のオーディエンスを相手に奇跡のツアーを行うと言う発想に至ったのは、当時から変わらぬ支持を示していた僕らに対するリスペクトのあらわれなんだろう。

5.リフの洪水

前から4列目上手からステージを観る。目の前には短髪に白いギターを弾くクリストファー・アモットが演奏している。長い髪のメンバーに囲まれて、クリスひとりが短い。黒の中に1人だけ白とかさ〜、この人の協調性のなさは未だに健在。そんなクリスとヨハンがいるからこの曲ができた。Black Earth。
地響きのようなイントロが印象的なこの曲を聴くことで、なぜマイケルがブラックアースをやりたかったのかが朧げながらにわかったような気がした。
 
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熟達の業師の五人がシューゲイザーのように下を向きながらひたすらリフを奏でる姿は圧巻だった、ARCH ENEMY最大強度の楽曲はこのBLACK EARTHに詰め込まれている。メロディックなのに何処までも乾いたリフが地響きのように幾重にも押し寄せて、圧倒的なヘヴィネスで僕らを漆黒の大海に突き落とす。一曲目から1柵目では横長楕円のモッシュサークルが出来ており、無意識のうちに巻き込まれる。気づいたら真反対の下手二列目へと飛ばされた。そう、マイケル・アモットの前まで飛ばされていたのだ。曲はThe Immortal。激しいリフの応酬であるイモータルに切り替わる。ギターソロではマイケルが前に歩み出てきて来て今にも手を伸ばせば届きそうなくらいの至近距離でソロを弾く。その右側には背の高いヨハンがいて雄々しい雄叫びを上げている。そしてその間を分け入るかのようにしてシャーリー・ダンジェロがオーディエンスを煽る。


マイケルが弾いているのにオーディエンスが見てないと大きな腕を振りかざし、ブンブン回して、声援せよと指示する。まるで牛若丸に仕える武蔵坊弁慶といったガタイの割に、細かな気配りができるコンポーザー的存在。常にしっかり全体を観て行動している。実に信頼の置ける素晴らしい奴、それがシャーリー・ダンジェロだ。Dead Inside。この曲ではクリストファーのソロが光り輝く。会場では激しさが早くも頂点に達してこの段差ありパイプありの会場の1柵目でモッシュ&サーフが繰り返される。あの場所を考えればかなり無理があるのだけれど、ちゃんとサーフィンしている、オーディエンスの心意気に惚れ惚れするよ。

こうして至福の曲が続き、ライブは新たなフェーズに入る。

6.BLACK EARTH!

ヨハンはご機嫌で、「福岡は初めて来た都市だけれど、とても美しい街だ!」と言っていた。スウェーデンから日本に来てライブをするのだ。感慨深いものがあるのだろう。渋谷クラブクワトロに続く2公演目がここ、福岡Drum Be-1なのだから。しかも自分達の20周年を祝うためのライブなのだから。かくもいきの良いオーディエンスがこんな未知なる地方都市に集まって、自分達の歌にモッシュしているのだ。「いいか!今日は僕らの新作BLACK EARTHがリリースされたんだ。祝え〜!」クールな表情が崩れないマイケルもふと微笑むことがある。天を見上げることもある。「行くぞ!ブラックアースだ〜。」ヨハンの号令からファーストアルバムが再現される。

再びリフの洪水が始まる。BLACK EARTH唯一のシングル曲Bury Me an Angelが耳なじみの良いメロディにのってリフを刻む。マイケルとシャーリーの二人で並んで弾いたり、マイケルとクリストファーが並んで弾いたりとノリノリだった。それ故にヨハンがどうしても手持ち無沙汰になる。アーチもギターヒーローのバンドのようにソロが長くて、ヴォーカルがたびたび暇になる。当時はヴォーカル兼ベースをやっていただけに、ちょっと寂しそうだなと思ったけれど、ヨハンの満面の笑みはそのままだった。楽しくて仕方ないのはよく分かるよ、杞憂だったね。

こうしてファーストアルバムを一から演奏をスタートした。

7.怒涛のセットリスト

このジャパンツアーはヨハン・リーヴァ在籍時の初期3作の楽曲演奏するが、特にファーストアルバム「Black Earth」は曲順も変えずに頭から全部やる、そんなセットリストになっている。初日の渋谷クラブクアトロとおなじでした。この割り切り方がかっこいいよね。
ライブも半ばになって突如始まったのはファーストアルバムから唯一シングルカットされた「バリー・ミー・アン・エンジェル」だ。長い航海のスタートを告げる一曲目だった。

リーヴァ「みんな〜、ブラックアースの新譜だぜ〜!」

って言う威勢の良いMCも満更ではない、20年前の曲なのに全く色あせていない、正に今産み落とされたと言っても過言ではない素晴らしいアルバム、それが「Black Earth」だ。

Dark Insanity/Eureka
「ダーク・インサニティ」はアーチのなかでも最強強度のリフとドラムが疾走する。息もつかせぬ重低音が心地よいスラッシュメタルが炸裂する。割と一曲一曲が短く、いつの間にか次に進む。闇に突き落とされたかと思えばまたじわじわと下から押し上げられるようなメロディのユーレカに切り替わっている。マイケルの音楽はどれも目まぐるしく変わる曲調のコーディネートが秀逸だ。

Idolatress
デスメタルと言う範疇の中で、これだけのノイズの中で、これだけ多種多様なメロディを紡ぎだすバンドはアーチ以外いないのではないか。特にこの「アイドレイトレス」のリフとメロディとの一体感は聴くものを圧倒する。

曲とは関係ないが、マイケルを見ているとよく口を突き出す。レモンを食べて酸っぱいっていうわけではないだろうが、ライブ中、そんな表情をよく目にした。お陰でマイケルの真っ赤に塗られたリップと真っ白なドーランが凄く気になってしまった。そんなマイケルとクールなクリスが中央に並んでソロを弾く。シャーリーが全員注目!とばかりにオーディエンスに指示を送る。中々人間味のあるライブで楽しい。


8.意外な相似

Cosmic Retribution
美しいソロの後に再びノイズの爆走が始まる。このベースとなる音のオーラに取り込まれると、感覚が麻痺して、もうなんだかわけがわからなくなるのだが、そんな時にはかならず高音の伸びやかなギターソロが用意されている。奏者はクリス。全くクールにギターを操る。マイケルもクールだが、時折ほくそ笑む姿を観ることが出来てクリスほど無愛想ではない。(笑)そうだ、マイケルの口を突き出す仕草とブラックアースのジャケットの絵が似ている。ドラムについているジャケットの絵とマイケルを見比べた。そういうことなのか?

Demoniality/Transmigration Macabre
ドゥーム的な重くゆったりしたインスト曲「デモニアリティ」から、高速のギター曲「トランスミギュレーション・マーカブル」に切り替わる。ライブは曲の切れ目などあってないようなものだ。ただひたすら続くインプロビゼーションの嵐の中、ヘッドバンキングをする。それがライブでは心地よいのだ。

Time Capsule/Fields of Desolation
轟音の後、泣きのギターをクリスが弾く。そして間髪を入れずにマイケルの怒涛のリフが炸裂する「フィールド・オブ・ディソレーション」。この曲もクリスのメロディアスなソロとヨハンの平坦なグロウルが対比を成し、アーチ初期のヘヴィーな音楽のダイナミズムを生み出す。この幾重にも重ねられた複数の音楽が交互に演奏されて奇跡のパラレルワールドとして1つの音楽に昇華している。

Encore:アンコール

ファーストを演奏し終えバックステージに下がったメンバーにアンコールを求める声援が湧き上がる。真っ暗になった会場が何とかバンドを呼び戻そうと躍起になっている。
そんな僕らの声援の元、笑顔でメンバーが戻り、「ありがとう!」と言いながら最後の航海が始まる。

9.ファイナルヴォヤージュ

Aces High
アイアンメイデンの名曲「Aces High」を演奏する。Arch Enemyがやるとアーチになるんだなと感心した。実はこの曲はファーストアルバムを2007年に再リリースした際に追加収録された曲の1つだ。こうしたカバー曲もしっかりArch Enemy節が炸裂していて原曲が邪魔をしない、流石である。思わずモッシュに参加して、お祭り的な盛り上がりとなった。

Beast of Man
しかし、こうした名曲カバーも瞬殺してしまうほどブルータルなリフが気持ちよい。やはりオリジナル曲のパワーは圧倒的なのだ。「ビースト・オブ・マン」が全てを塗りつぶす。もうどんなリフが流れてきてもわからないんじゃないか。怒涛の爆音を仰ぎ見る。

Silverwing/Bridge of Destiny
「シルバーウィング」この曲も相当激しい曲なのだが、このライブにおいてはもっとも聴きやすい曲なんだろう。
最終曲へのプレリュード。そしてブリッジ・オブ・デスティニー

前半のブルータルなリフ攻めに対して後半のメロディアスなギターソロが恐ろしく美しい。このインプロビゼーションArch Enemyならではの至高の芸術だと思う。この曲を弾き終え、メンバーはバックステージに下がる。楽器を置いたメンバーがステージに戻ってくる。皆んなで肩を組んでお辞儀をする。鳴り止まない歓声、お約束のオーディエンスをバックにした集合写真、マイケルはこのジャパンツアーのために作ったピックを一枚一枚丁寧に手渡す。クリスもヨハンもオーディエンスとタッチ祭り。そうして下がるもオーデエンスの拍手は止まない。客電が五分も遅れてついた為、皆んながんばったね。今まで見た中で一番圧縮のないライブだったけど、熱いライブだった。是非Black Earthとしてのライブを続けて欲しいな。そんなライブでした。
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TMの青年時代

OD:「メタル聴くんだって?」
TM:「ああ、アクセプトな。今度ロシアンルーレットツアー行くんだ。」
OD:「すげーな。ところでジャパメタは聴かないのか?」
TM:「ああ、聴かないね。」
OD:「ちょっと連れないな。いや、ライブにいきたくてね。こっちはインディーズだからさ、ホールじゃなくてライブハウスなんだけどよ。行こうぜ。」
TM:「どんなバンドがいるの?」
OD:「いろいろいるんだけど、今狙っているのはリアクション。INSANEが良いんだよ。」
TM:「Are You Free Tonightっていいじゃん、じゃあ、アルバム買ってみるわ。」

そんなんでアルバムを聴きこみ、ODと一緒にクラブチッタ川崎まで足を運ぶ。人生初のライブハウス。圧縮と熱気と酸欠が半端ない。(ベビメタほどじゃない。)Joy Rideがやや一本調子なのを除けばなかなか良いライブだった。酸欠で外に出るとODがいた。へばっていた。

TM:「早いな、やけに早くないか?」
OD:「お前、前に行ってなかったか?よく行けたな。」
TM:「ああ、JUNYAみたかったんでさ、朝の小田急乗ってればあれしきわけないさ。ただ、最前は空気薄いし、とても長居はできなかったよ。JUNYAファンの女の子はずっと最前だったみたい。あれすごいな。」
OD:「それに比べたら大したことないな。俺なんて後ろでも無理だった。」
TM:「まあな、仕方ないな、サバイブする術を知らないし。でも初めてのライブハウスだったけれどなかなか良い経験だったよ。外タレはでかいホールばかりだから。」
OD:「また行こうぜ。」
TM:「OK」

ODを通してジャパメタ遊びを学んだ。ただあまり、そっちには行けなかった。ヤングギター、ロッキンfBURRN!を見て、特にレビューで知ったバンドを中心に聴いていった。
W.A.S.P.、Iron Maiden、Accept、Def Leppard・・、ライブの魅力は見聞きしていたけど、やはり実際の音は自分が聴かないとわからない。ライブはまるで別物だった。特に席によってあんなにちがうなんてね。東京ドームは席も悪く、音質が最低だった。決してDef Leppardのせいじゃないのだが、ひどかった。ヒステリアをあのスタンド席で聞くことが間違いなんだけどさ。ガンズは同じ場所なのだがアリーナ席だったこともあって割りによかった。音もシンプルだったし。そんなライブ三昧な記憶が僕の青年時代だったな。
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TMの少年時代について

中学生の時、とある友達と知り合う。彼は一人っ子で、考え方が利己的でクラスに馴染んでいなかった。実は小学校でも同級だったが、接点もなく遊ばなかった。そんな彼がひょんなことから遊び仲間に加わることになった。

MR:ウチにさ結構いろんな音楽を録りためているから聴きに来ないか?洋楽なんだよ、洋楽。
TM:音楽?歌謡曲かい?なんだ?そのヨウガクって?サントラ?

そんな呆けた会話がキッカケで洋楽の世界に嵌り込んでいった。初めはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのリラックスが好きでよく聞いていた。結構MRがよく録り溜めていたのでかなりの音楽がそのテープで聴けた。そこを足がかりにポリス、ジェネシスカジャグーグー、ZZ TOPなどの音楽に染まる。まあ、染まるって言っても、ガキでアルバムもロクに買えなかったからラジカセでエアチェックだった。はじめはモノラルのスピーカーが一つしかないボロボロのラジカセを死ぬほど酷使した。終盤はカセットテープを入れる部分が壊れて、差し込み式になった。ハイポジとかメタルエディションとか以前の問題だったな〜。
そして遂に、スピーカーが2コついたステレオ、重低音のどデカイラジカセを買ってきた。中学生で一番の買い物だった。おかげでエアチェックの質が向上した。リバースも自動でするし手間が省ける。(笑)そんなことで、FMファンだとかFMステーションなんかを買って特集物を徹底的にマーク、チェックして録りまくった。何故かカセットテープは手にはいったから手当たり次第に録った。
高校になり、学校が遠くなった。乗換駅にドイトがあって、中古盤屋が入っていて、フォーリナーとかジャーニーとかが二束三文の価格で買えたので毎週漁りに行った。その頃、テレビでは白と黒に唇と言う前衛芸術みたいなTOTOのアルバム、アイソレーションのCMがガンガン放送されていた。やはりエアチェック主体だと超メジャーなものがどうしてもメインにならざるを得ない。そんな中高校で、悪友2人に巡り合う。1人目ははSK。

SK:おめー、どんな音楽聴くんだ?
TM:TOTOとかプリンス。
SK:おめーがプリンスだ?
TM:うん、1999をエアチェックしてね、凄く気に入ってる。
SK:プリンスはやっぱり、パープルレインだよ、そして、リトル・レッド・コルベット。おめーにはわからないだろうがな。
TM:そんなに言うなら聴かせてくれ。カセットテープに入れてくれ。120分のカセットを渡した。すると数日後、カセットを持ってきた。

SK:裏にも入れといたから。
TM:ありがとう。

家に帰って聴いてみる。するとレコードの針が落ちる音から始まって、
「ハイディハイド-ハイダ、ハイディハイドーハイダ ハイディハイドハイダ、ハハハハハハハ」と懐かしい(様な)音楽が流れたかと思うと、いきなりハイトーンの叫び声が「アー」とはいる。衝撃的な音楽「Fast As A Shark」Acceptとの出会いである。

翌日
TM:「なんだよあの音楽。」
SK:「やっぱりお前にゃ理解出来なかったか。」
TM:「めっちゃかっこいいじゃんか、なんてグループだよ。」
SK:「お前にゃ無理だよ。無理すんなって、アクセプトが分かるはずがねえ。」
TM:「そんなこと言わないで教えろよ。」
SK:「じゃあ、これ聞いてみ。」
TM:「メタルハート?」

それから怒涛のごとく奴のテープをダビングして聴く。

SK:「とっておきの一枚がこれ、Defenders of the Faith 、ジュダスプリーストだ。」
TM:「Accept、Iron Maiden、Judas PristでなんでPurple Rainなんだよ。」
SK:「そこがお前の愚かしいとこなんだ。」
TM:「さっぱりわからん。」

当時は全くメタルなんて知らなかったから、マジでどれほどの物なのかは分かるはずもなかった。ネットなんてなかった時代だからね。中古レコード屋や貸しレコード屋にメタルコーナーが出来て置いてあったのを毎週チェックした。Walls of JericoからのRide the Sky、Helloweenを見つけた。それからは週一で通っては掘り出し物を探した。それが僕の懐かしい少年時代の良い思い出だ。
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