白夜奇譚 - ミズニウキクサと素晴らしき仲間たち

令和2年2月11日

小倉FUSE

 

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1。白夜奇譚

小倉らしい曇り空の下、ライブハウスの前で入場待ちの列ができる。18:00開場。今日は山口県下関市のバンド、ミズニウキクサがここ小倉FUSEで主催イベントである「白夜奇譚vol.3」を行う。主催イベントはちょっと前にもあったが、あれはノンフィクションとの共同主催「ヒズミウキクサ」だったので、僕的にはミズニウキクサ単独の主催イベントへの参加は初めての経験となる。2019年とはミズニウキクサにとって試練の年だった。ギターが抜け、たっくんが病に倒れる。そんな悪夢の様な日々から漸く解き放たれるのが今日、2020年2月11日なのだ。そんな記念すべき日に向けてバンドは気合いを込める。まずは新曲「ベルベットブルー, a song by ミズニウキクサ on Spotify」と「メロウスリープ, a song by ミズニウキクサ on Spotify」の2曲を発表し、サブスクリプション配信とした。そして長らく変わらなかったマーチも一新された。Teeシャツ、ロンTee、パーカーが用意された。(*ラバーバンドは予定していたが今日のライブには間に合わなかった。)そしてなによりも感慨深いのが、あのたっくんが戻ってきたこと。あの体で想像もしえないドラムを叩く。その迫力に引きずられるようにして愛美さんの激しいベースがかぶさってくる。正にそんな嵐のような2人の掛け合いがミズニウキクサであり、それが今日戻ってくるのだ。もう興奮せずにはいられない。そして、かくも素晴らしいラインナップのバンドに支えられての主催イベントが紡がれて、一つの物語になる。同じ山口県萩市から参加の「Aqua GeeCharn」、福岡県北九州市からは「月追う彼方」、福岡県福岡市からは「ザクロ」と「THE INCOS」。そして広島県からAINSEL、そんな楽しい主催イベントがまもなくはじまる。

 

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2。月追う彼方

白夜奇譚第一組目に登場するのは「月追う彼方」。北九州を拠点とするバンドで昨年はシングル「ちゅうぎん通り」は個人的にヘヴィーローテーションで聴いた。月追う彼方のライブは月に何本も対バンを入れてくるのだが、平日でかつ出番が早い為、今日はまだ2度目。前回相当に衝撃を受けた「月追う彼方 - プラチナ 【MV】 - YouTube」は二曲目だった。後は現在リリースツアー中のEP「夜のとばりが下りた頃」からだったようだ。ヴォーカル&ギターのしほんぬさんが今回の出演について語る。


しほんぬ「学生の時から尊敬する先輩であるたっくんから声がかかるとは思っていなかったので光栄です。ミズニウキクサは本当に尊敬するバンドだったので・・」

 

若い仲間からも親愛の意を表されるのを聴けるのは主催イベントならでは。なんて心地よいんだろう。

 

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3。Aqua GeeCharn

二番手は山口は萩のバンド、Aqua GeeCharn。

思い返せば一昨年のAqua GeeCharnのライブで観客として観に来ていた愛美さんがミズニウキクサのヴォーカルと知ってから、このミズニウキクサのライブ通いが始まった。ギターのじゅんさんのMCが熱い!


じゅん「うちの愛美がやらかしましてすみません。ラババンが間に合わなかったと言うことで・・僕が作ってきました。ほら、ミ・ズ・ニ・ウ・キ・ク・サって書いてあるでしょ。(笑)(紙で作って丸めた紙バンドを持って)僕らの物販の場所はミズニウキクサの隣なんで置いて置きます。是非見に来てください。」


思いっきり山口の兄貴分的な発言でほっこりジョークが飛び出したかと思うと。たっくんの復活祝いでサークルモッシュを呼びかける。いつもやっているのか、呼びかけが上手い!みるみるサークルを回る人が増えて大きくなっていく。大体直径4mくらいのサークルにまでなって皆走り回る。「たっくん、復帰おめでとう〜!」って言って皆叫びながら楽しく駆け回る。じゅんさんはそれを観て「本当にありがとうな〜」と言って我がことのように喜んでいた。一つ難を言えば、その時会場にはミズニウキクサのメンバーが居なかったこと。まあ、じゅんさんがライブ後に100倍くらいマシマシで吹いているだろうから、それはそれで良かったのだろうね。なんてね!

めっちゃ良い仲間たちで羨ましいぞ、たっくん。

 

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4。ザクロ

福岡のバンド、ザクロ登場。基本、ヴォーカルが全てをリードしていて、バンドというよりソロの歌手的なイメージが強いこともあり、一月にPEROが来た時のFUSEで対バンした時のザクロはあまり真面目には観ていなかった。今回、客入りの良い状況で観るザクロは決して悪くはなかったのだが、基本、何故か苦手な感じなのだ。


なべさん「歌謡曲っぽいって言ってたけど、そうではないなぁ、椎名林檎みたいだな。俺、椎名林檎好きだから全然OK!」

 

と言われた。

まあ確かに似ているかと聞かれれば似ているのかもしれないが、椎名林檎か〜、複雑。まあキノコホテルみたいな感じかなと1人ブスったれる。椎名林檎と言われたら嫌いとは言えないし、辛いわ。(苦笑)


まあ、そんなボヤキはさておき、白夜奇譚第三番手として出てきた禊萩ザクロさん率いるザクロ、まんまやん(汗)。圧倒的なヴォーカルだった。「ザクロ “ラピスラズリシンデレラ”(Official Music Video) - YouTube」を歌うザクロ、なんちゅう声なんだと恐れ入る。ベースもドラムも存在感はないのだけれど、とにかくヴォーカルが凄いし、MCも丁寧な敬語の語尾が命令調、乱暴に変えてくる遊び心も全て計算づくなんだろう。あそこまで貪欲にこられると僕は引いてしまうのだが、斜め前にいた愛美さんは完全に目が釘付けになっていた。確かに会場の支配度合いが凄すぎてパフォーマー側から観たら目からウロコなんだろうなぁ。あのど根性は恐るべし。なんだかんだ言ってきになっているやん。何回か見ていたら、いつかはどハマりしているのかしら。ヤバイ、ヤバイ。根こそぎ持っていかれる日は近いのかもしれない。激ヤバ。

 

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5。THE INCOS

続くはこちらも福岡のバンドTHE INCOS。こちらもひいろ大先生が率いるバンドなのだが、前回INCOSのリリースツアーで来ていたFUSEで観たイメージと今日のイメージとは随分違って見えた。ひいろ大先生の佇まいが今日は儚げに見えてホロリときてしまった。そもそも歌い方が好物だし、ギターも歌が上手いし、バンドとしての総合力はバッチリだった。もっと圧倒的にひいろ大先生のワンマンバンドなんだと言うイメージで捉えていたから、少し引き気味だった前回と違って、変な思い込みは崩れ去ってイメージがガラリと変わって良かった。


ひいろ大先生「最近は県外にもファンが出来て外に行くこともあるのだけれど、まだまだINCOSは人気がないバンドなんで、できたら皆さんにも応援してもらいたいなぁと思っています。」


圧倒的な人気バンドとして観ていた僕としては、この謙虚さはヤバイ。かなりこの瞬間にパートを持っていかれてしまった。物販列がなかなか進まなくて買えなかったのが不幸中の幸いだったかな〜、もし買えてたらどんだけ散財したことか。(⌒-⌒; )

あぶねー。あのノリはやばすぎる。

なるほど、僕はちょろいな。ヤバイな〜、女の人怖いな〜。(汗)

 

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6。AINSEL

さて来ました、今日一番メタルなバンドAINSELの登場だ。広島のバンドで、前回あったミズニウキクサのライブで対バンだったけれど、そのライブが楽しすぎたので今日も大いに期待していたし、やはり期待通り最高に楽しかった。今回はドラムのサポートとして広島のバンド、コトリヤのカワさんが参加されて、コトリヤのカバーをやったんだけれど、めちゃ激しくて、ノリノリだし、リズムが安定しているからヘッドバンギングがなんとも気持ち良い。完全にあの時、昇天していた。KAWANSEL最高じゃないか。カワさんが参加したAINSELをそう呼ぶらしい。(笑)もうとにかく全力でヘッドバンギングができて、気持ち良すぎたし、やっぱりライブはこれだよなって思う。終わった頃には汗だくで爽快だったな。それにしてもCDとライブとのギャップがこれほど大きいバンドも珍しい。いやー、ライブ盤出した方が百倍良いのになぁ〜などと勝手なことを言ってみる。RIKu.さんめっちゃいい。最高すぎる。ギターもベースもドラムもみんな大好きだわ。またライブ行きたい。

 

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7。ミズニウキクサ

いよいよミズニウキクサが登場する。いつものように下手の愛美さん前の柵をとって観る。たっくんが復活なのでドラムセットがステージ前に斜めに配置される。無理やり引き出した感が出ていて廃虚感が溢れる小倉FUSEカッコいい。あたかもステージが一部破壊されたかのような感じと、スモークがミスマッチなようで面白い。たっくんのドラム上手横に、にちなちゃん、たっくん下手横、愛美さんの後ろがよねぴくんだ。3人とも今日は2トーンサンバーストのこげ茶色のギターで渋く合わせていた。ミズニウキクサの激情型のライブにはテレキャスよりはストラトの方が似合うような気がする。特にギターが若さ弾ける荒削りなサウンドになったいまのサウンドは過去に固執するより、思い切って新しいテイストに振り切るという愛美バンドとしての昨年後半の試行錯誤があったからこそ、良い方向に進めたのではないか?第二期ミズニウキクサとして新しい道に新しい若いメンバーとの交流は大いなる刺激をウキクサにもたらした様だ。

幕が開き、新曲「メロー・スリープ」がはじまる。

激情型のノイズの嵐のギターパートを若い2人、にちなちゃんとよねびくんが担う。愛美さんのベースが重くしっかりとした音を出し、なによりもめちゃくちゃにかっ飛ばすたっくんのドラムが全ての音を牽引する。知ってはいるけれど、半年ぶりのそのサウンドには度肝を抜かれた。知っているはずなのに、まるで初めて聴いたかのような衝動に戸惑う。確かに一曲目は新曲なんだから戸惑うのは当たり前なのだが、二曲目の聴き慣れた「街」も完全にアレンジを変えている。とにかくピッチが早いし、入りのギターも音を変えている。あれだけ違和感を感じていたのに、これはありだと強く思えた!音楽は耳の慣れたアレンジに固執してしまう事もあるのだが、この激情型への切り替え、割り切りは良い選択だったと言える。若い2人の良さも生きるし、第二章ミズニウキクサはより松本愛美的に変貌を遂げた。


愛美「私は自分がやりたいようにやっていいんだって思えるようになって、それが開放感になって、そして良い感じにバンドにも還元できているなと思っています。これからもミズニウキクサはどこまでも、どこまでも突き進んで行こうと思います。

ベルベット・ブルー!」


怒涛の如くベースが地を這いずる、今のミズニウキクサを象徴するかの様な曲がこの曲「ベルベット・ブルー」は、最新型のミズニウキクサを一番上手く語っている様にも思える。歌詞にある内容を正に説明したのが先のMCだったんだろうな。


さあ始めよう 終わりの見えない遊泳

もう戻れない季節が 銃口向けて

突き抜けた 朝が来た

 

いつか描いた理想にまた手を伸ばして、もがいているミズニウキクサと一緒の世界にいられることに、感謝しかない。僕らはなんて幸せな世界にいるんだろうか。もうとことんついて行くから!

もうこれ以上ないくらい大はしゃぎなイベントだった。また来年!白夜奇譚vol.4に期待してます。

 

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ミズニウキクサ

セットリスト

‪1.メロー・スリープ‬

‪2.街‬

‪3.カシス・ビート・ロマンス‬

‪4.夏の終わり‬

‪5.ベルベット・ブルー  ‬

‪encore:‬

‪6.燦然と