ありのままの自分が此処にいる。今のアースシェイカー を聴け!

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MARCY FROM EARTHSHAKER
LIVE AT KOKURA HONJIN 2018
2018年10月6日

1.二つのソロライブ
台風24号と25号が九州の週末を2週に渡って襲った。その2週に日本のメタルの大御所である二者のソロライブが小倉で行われた。一つは9月29日の坂本英三(元アンセム)、もう一つは翌週10月6日のMARCYアースシェイカー)のライブである。メタルの聖地、北九州響団小倉本陣にアコースティックギターを背負ってやってきた。共に偉大なる実力派ロックヴォーカリストであり、甲乙の付けがたい素晴らしいステージであったが、敢えてその二者の相違点をあげるとするならば、現在のバンドとの立ち位置が「脱退している」か、「現役」かの違いとして現れていたのだろう。当然のことながらソロ主体で活動を続ける坂本英三のステージは期待した音楽(アンセムの楽曲)は少なく、それに対して未だ掛け持ちで現役続行中のMARCYは期待通りの楽曲を全編に渡り演奏した。アースシェイカーの親しみある楽曲を凡そ2時間に渡り聴けたこと、メタルの神様と言っても過言ではないMARCYが僅か2メートル程の距離で目の前で歌っていた。目をあげると目線が重なるこの距離感は正に感無量としか言いようがない。

そんなこともあり、今回のレポートは、2週目に観たMARCYのライブを主体的に書く事とにした。坂本英三のライブは本当に素晴らしいものであり、特に後半のバンドセッションで歌われた三曲、「Tight Rope Dancer」、「Black Eyed Though」、「Bound to Break」は正気を失うほどの充実感があり、素晴らしいものであったし、柴田直人(アンセム)の60歳を祝うチッタで行われたアンセムのイベントにもゲストで出演したことや、目の前で行われたライブの熱唱から、喉の復調が著しいことも感じられたので近い将来、また何かがありそうとの可能性が感じられたものではあったが、そこを除くと印象に残る内容が無かった。やはりアンセムとして見てみたい。この一言に尽きる。

 

2.奇跡のライブ

そんな中でライブ+懇親会で凡そ3時間半もの時間をMARCYと共に過ごすことができた。そのこと自体奇跡だ。未だに信じられない。こんな素晴らしい時間を小倉で持てたことはきっと一生涯忘れることはないだろう。神様ありがとう。やはりあの距離感でMARCYと一緒に「MORE」と「ラジオ・マジック」を歌えたことは何より素晴らしい経験だった。これは何が何でもライブレポートを書いておくべきだろう。音楽への直向きな姿勢、優しさと厳しさをソロ活動ではあるけれどもしっかりと保ちつつ、35年間変わることのない品質を保てたからこそ今もこうして活動し続けられるのだろう。来月発売の新譜も楽しみだ。ではライブレポートに移ろうか。

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3.開場前
昨夜から激しい風雨が窓を叩きつける。明日のライブは問題なく行われるのだろうか?ジョークでMARCYと台風はどっちが強いんだろう?なんてツイートもしていたがやはりMARCYの気合いには流石の台風も骨抜きになってしまったのか、大きく進路を乱して台風25号は昼過ぎにはどこぞへか行ってしまった。そんな小雨のぱらつく中、京町二丁目の路地を抜けた先にある小倉本陣の前を見るからにメタルな5人組が歩いている。先頭を歩いているのは正しくMARCYだったし、ベビーメタルパーカーを着ているのはバンドセッションでベースを弾いていた人だった。16:00を回った頃に白頭山に入って行く一行を見送り、僕は一路本陣に向かう。

 

リハーサルは押しているらしい。福岡メタル会のPURIさんと合流して、開場を待つ。
「あのアースシェイカーMARCYのライブをこんな小さな箱で見ることができる機会があるなんていまだに信じられない。」と興奮気味に話すPURIさん。そう、今まさに最高な時間が始まろうとしているのだ。

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4.第一部アコースティックセッションの開演
時間は20分ほど押して開場となる。中に入ると先週の坂本英三さんのライブよりも少なめな椅子がまばらに配置されていた。あの時は明らかにアンセムの追っかけ的な女子も多かったけれど、そんな女子が少なかった様だ。少なからず台風の影響があったということか・・。そんな状況も幸いしてか、最前列ドセンの席に座ることができた。MARCY用に置かれている席から離れること僅か2m、この距離感信じられない。黒に赤い縁取りのお洒落なアコースティックギターが置かれている。開演は17:20きっちりにみんなの「マーシー!」の呼び出し声に乗って登場するMARCY。「いやー、おじさんの声しか聞こえなかったぞ。(笑)」と言いながら登場する。「小倉はIN&OUTにアースシェーカーがデビューする前に来て以来じゃないか?」今年35周年記念を迎えるアースシェイカーは来月7日に23枚目のフルレンスアルバムである「THE STORY GOES ON」を発売する。途中解散はあったものの、まもなく再結成して、今まで絶える事無く活動を行って来た。「曲目はもう数百曲あるから、ライブで全然やらない曲なんてのがちらほらあるんだよね。そんな曲をアコースティックでやってみたい。」と話してHUNGRY DOLLが演奏された。アースシェイカー 4枚目のアルバム「パッション」からの曲が続く。今日、実はサインをもらおうと密かに持ち込んだアナログ盤がこのパッションでもあった。結局、今日のセットリストで最も多かったのがこのアルバムだったなんて言うことも偶然と言う名の奇跡だった。HUNGRY DOLLは30年くらいやってない曲なのだ。それを目撃できたなんて素敵なことではないか。何よりも嬉しいのはこのアルバムは僕が一番はじめに買ったアースシェイカーのアルバムだと言うことにも起因する。全く特別な想いの詰まったアルバムだった。今日のアルバムの象徴すべきはこの曲、HUNGRY DOLLなのかもしれない。

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「ヴァンヘイレンには「JUMP」と言うライブで盛り上がるナンバーがある。アースシェイカー には「WHISKY AND WOMEN」と言うみんなが歌える単純な歌詞のナンバーがある。」みんな声出していこう。ただひたすらにWHISKY AND WOMENを連呼する、爽快だ。どストレートな欲望ソングも、皆んなで歌えばお祭り騒ぎの大盛り上がりとなる。会場にいた僕らおじさんたちの声が会場中に響き渡る。
 そして畳み掛けるかの様にフュージティヴから名曲「記憶の中」がアコースティックで演奏された。今でもライブでは必ず演奏される耳馴染みの良いナンバーであり、
アコースティックの場合、大概の曲は曲の佇まいが変わったりして拍子抜けするが、この「記憶の中」に限っては原曲そのままの曲であるように感じられた。 「アースシェイカーの歌は割とあーあーあー嗚呼と観客に歌わせる歌が多い。この「記憶の中」もそんな曲なんだ!」とMARCYは語っていた。

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5.MCと第二部バンドセッション
MARCYの出身地である大牟田の話から「ガレージ」の実態が「ノリ小屋」だったってことを知る。「ノリ小屋じゃあアースシェイカー の曲にならないから、ガレージとしている。あの頃はライブハウスなんて無かったから、大牟田のガキにはノリ小屋が格好の練習場所だった。海に向かってマーシャルを置いて爆音でリハーサルをやったな。」MCで色々な話が聞ける。特に歌詞についての解説は思いもよらぬものだった。それもライブの醍醐味の一つだろう。
そんな話から「GARAGE」の演奏を聴いて、第一部が終了した。


第二部はスタンディングとなり、若いバンドマンたちがバックバンドに着いた。そんな彼らの選曲は「LABYRINTH 」。2013年のアルバム「THE EARTHSHAKER」からの曲だ。

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「バックバンドは若い人たちで、ものすごいパワーがあるんだ。こういうのも嫌いじゃないよ。」と嬉しそうに話すMARCY。猛烈な爆音で完奏する。一曲が終わる毎にバックバンドが入れ替わる。ギターだけではなくエフェクター類も総入れ替え。MARCYは下がり、セッティングに時間がとられる。なかなか大変だ。MARCYのバックをやるということ、なかなか得難い経験だし、でも相当なプレッシャーだ。時に間違えて、グダグダになる事もあったが、そこは観客が声出して楽しめばいい!あのMARCYと競演する人たちのプレッシャーも半端ない。だってMARCYなんだから。僕らがロックを聴き始め歌っているのは本物のMARCYなのだから。僕がハードロックを聴き始めた時にはもう既にスターダムにいたあのアースシェイカー のヴォーカルのMARCYが今前で歌っているのだから・・緊張しないわけがない。。

 

「WALL」がだいぶぐだぐだに崩れたため、MARCYもちょと釘をさす。「次は誰もが知っている曲だから間違えられないよ!(笑)」プレッシャーが頂点に達した中で「MORE」がはじまる。観客の誰もが高らかに歌い、酔いしれる。メタルと言えばアースシェイカー であり「MORE」だった。どのバンドも皆演奏するレパートリーに入れた曲がMARCYの熱唱で丁寧に歌われる。そして最後はみんなで熱く歌いあげる「ラジオ・マジック」。燃え尽きた。終演後にサインと握手。若いバンドマンとの対話を楽しむ、優しく、時に厳しい、等身大のMARCYがそこにいた。来月の自信作が楽しみでならない。「新作はどんな出来でも営業的には良いことしか言っちゃいけないものなんだけれど、今回のは今の自分がそのまんま記録されている。1983年の頃のアルバムを聴き返して、その頃の何もわからないのにやたら分かった風に物事を言い切っていた自分と、今の経験を積んできて物事が分かってきた自分が上手く合わさって、あの頃のハードな音と今の声の枯れてきた等身大の自分がそのまま録ることができた、最高ではないかもしれないが、自分にとっての自信作になった。みんなに聴いてもらいたいな。まだ公式発表はしていないけれど、来年、福岡にアースシェイカー で来ることが決まっているから、また会おう!」

絶対に行かないと!行ってフルバンドの今のシェイカーを目撃しなければなるまい。ありがとう、MARCY!皆んなで高らかに叫んで見送った。本当にありがとうございました。確かな明日がここからも伝わってきたかの様だった。。

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セットリスト
第一部 アコースティックセッション
1.夢の果てを(アースシェイカー)

2.流れた赤い血はなぜ!(パッション)
3.LOVE DESTINY(フュージティヴ)
4.HUNGRY DOLL(パッション)
5.ありがとう君に(パッション)
6.I FEEL ALL SADNESS(アースシェイカー
7.WHISKY AND WOMEN(パッション)
8.記憶の中(フュージティヴ)
9.GARAGE(アフターショック)


第二部 バンドセッション
1.LABYRINTH (THE EARTHSHAKER)
2.ざわめく時へと(ミッドナイト・フライト)
3.WALL(アースシェイカー
4.MORE(フュージティヴ)
5.ラジオ・マジック(ミッドナイト・フライト)

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