ドラゴンフォース 広島公演報告

2015年9月5日、広島にドラゴンフォースがやって来た。広島公演は2006年、2010年とドラフォが毎回ジャパンツアーの口火を切る場所でもあり、BABYMETALとはまるで関係なかったが、公演自体は想定外に演技者側も受け手側もノリノリでとても良いライブとなった。小箱っていいね!

クラブクアトロ広島はクラブクアトロ渋谷の800人に次ぐ、700人のキャパがある割と大きな箱なのだが、なぜか固定のシート席があり、使えないくうかんとなっていた。スタンディングのみの本公演にはつらい場所となっている。結局、シート席部分は黒い暗幕で区切られてなかったことにされているのが痛い。おかげで、箱は約400名程度のぱんぱんな箱となっていた。ほぼ満員で、その場的にはありな気がした。

 

BGMが流れる。ハイボールを片手ににゆらゆらと頭を揺らすと心地よい。メタリカメガデス等の曲を流していたので、スラッシャーを自称する僕にはよい心地だ。そんな悦に入った時間が過ぎ、曲がミニストリーNWOに曲が変わったところでボリュームが一気に上がる。すると曲はメロディアスな打ち込みのイントロに変わる。
ドラムのジー・アンザローネ、キーボードのヴァージム・ブルジャーノフが走って登場し、続いてハーマン・リー、フレデリック・ルクレルク、サム・トットマンの順で各ポジションにつく。一気にボリュームが全開となりTomorrow's Kingsのイントロがはじまる。ボーカルのマーク・ハドソンがセンターに現れMaximum Overload のJapan Tour 2015が幕を切った。

 

1.Tomorrow's Kings

開場の時間が遅れたにも関わらず開演はオンタイムで始まった。僕のチケット番号は233番だったし、はじめは10列目くらいだったけど、ドセンでステージと4mの距離だった。めっちゃ見やすいわ、音いいわで最高だった。ドラゴンフォースは目まぐるしくステージ上でポジションを変える。曲が始まると直ぐに長いソロパートがやってくるため、目の前で一つのお立ち台の上に立ったサムとハーマンのギターの掛け合いが始まる。サムー!ハーマン!

なんと言ってもハーマンのビョーンと弦を持ってギターを落としてももで蹴り上げるパフォーマンスが圧巻なんだ〜。よく落として、機嫌が悪くなるのだが、今日は全部成功。さすがはイケメン!ハーマン・リー。

 

2.Fury of the Storm
しかし、1人そんな素晴らしい小技を馬鹿にするものがいる。それは相方のサム・トットマンだ。ハーマンの演奏を聴いて、サムはアクビしたり、ダメダメと手を左右に振ったりしておどけたアメコミの悪ガキのごとく挑発する。続くサムのソロ演奏にハーマンがなんじゃこりゃ、下手っぴと言わんばかりにへの字口で仕返しをする。とにかくサムのアクションがお茶目だ。バッキングの単純ルーティン作業では、余りに退屈とばかりに呆れた格好で引き続ける。いかにもめんどくさくて堪らないといった悪ガキの表情と仕草でプレイする。まるでコントを観ているかのようだ。あらゆる場所から手を出して変則的にギターを弾いてみせてはアクビをする。観ているだけで楽しい。なんなら後ろ向きで、横向きで!弾きましょか?ってサービス満点で飽きさせない、それがサム流の礼儀だ。

 

そしてベースのフレデリックはあんなにいかつい顔をしていながら、最前に並んでいる女の子たちがメロイックサインを送ろうものなら満面の笑みで顔を赤らめる。男が拳を突き上げると凛々しい怒りのファイティングポーズを取り、まるで大魔神のごとし。フレデリックの表情も愛らしくて、サム同様、見ていて楽しくなる。

ヴァージムもキーボードの所で飛んだり跳ねたりせわしなく動き回っているのだが、ついに肩掛けキーボードに持ち替えて最前の4人に加わってギターを真似たパフォーマンスでアピールする。

3.Three Hammers

ドラフォの中でダントツに若くて、かっこよくて、声がいい。ボーカルのマークハドソンがまじで魅力的。全く外さないし安定感がある、真面目で忠実にきっちり歌い込む、メンバーも加入してまだそれほど経っていないマークに少し神経を使っているように見えた。サムはマークにこまめに休憩を促す。いいボーカリストだし、煽り方が上手い。細かな気遣いがあるし、日本語も大分勉強しているようだ。
ふと舞台の袖でサムが腕を組んでいるのを見つけた。オーディエンスを見て首を振っている。僕らの盛り上がりが足りていないことに不満があるようだ。

4.Operation Ground and Pound

サビのメロディがめちゃ綺麗で一気にもってかれる。こんな楽曲がドラフォには多くて舞台でもかなり盛り上がるナンバーなのだ。サムがマークに指示をして、みんなにジャンプを促す。ジャンプだ!ジャンプだ!みんなジャンプをしよう!。

 

5.Black Winter Night
ドラフォの良さはやはりライブの醍醐味。全員がフロントマンとも言えてしまう個性と楽しげな雰囲気に満ち溢れている。アルバムを聴いている時はそれほど良さが感じられなかった楽曲でもライブではかなり盛り上がるナンバーになる。お陰で完全にファンになってしまった。

マークからの指ぐるぐるの指示が出る、瞬時に観客がサークルモッシュをスタートする。この狭い場所で3つ?。岩国から来たと思われるマッチョな米兵たちが暴れまくる。「お前ら、ここに何しに来たんだ?」と叫びまくりモッシュが展開される。米兵がどんどんサーファーを観客を頭上にあげる。ひょっとしたらドラフォのスタッフ?小さい箱故の高揚感が止まらない。堪らない。

6.The Game

この曲のように変調を繰り返すのがドラフォの特徴。ボーカルがどれだけ大変かがうかがい知れる。頭の上のサーファーを交わして容赦なくタックルしてくる外人に応戦を開始する。

7.Symphony of the Night

舞台ではアカペラから始まるこの曲の背後で、オーディエンスの焚付けに成功したサムとハーマンの表情が緩む。サビの部分はどの曲もそうだけど歌いやすい、シンガロングしやすい。終始大合唱、マーク隊長の指示のもと拳をみんなで突き上げたり、メロイックサインをしたり、はたまたジャンプをしたりしてなかなか楽しい。

 

8.Seasons

他のライブではこのSeasonsで始まることが多く、予想はこの曲が一曲目だと思って疑わなかった。ドラフォの楽曲にしては珍しくノーマルな構成の曲なんだけど、ライブじゃ、ガンガン来る感じかな。みんなで跳ねる跳ねる。

 

9.Heroes of Our Time
ベビメタだとなかなか難しいけど、ドラフォだとこの距離感で観ることができる。もう超絶なんだ〜とか感動している中でなんとイケメンがやっちゃった行為とは?。ギターの舌弾き。舌押さえで弦を舐めまわす。滴る唾がねとーっと滴るところまで見える。汚たねー!見たくねー!

 

10.Cry Thunder

ドラフォ最大のシンガロングソング。マークが観客に話す。「ここは広島だ、これから僕らは日本をツアーで回る。次は大阪、続いて名古屋、そして東京と回る予定だけれど、どこが一番盛り上がるかな〜。広島!一番になりたいとは思わないのか〜?」なんて煽りをかまされる。絶叫と圧縮が最大でかなりキツイ状況のなかで、メロイックサインを送りながらシンガロングする、「クライ・サンダー!。」

 

11.Valley of the Damned

この曲が終わると一段落。本編終了でOne More Song!Dragonforce!の大声援が巻き起こる。小さい箱は機動性が高く、一体感が半端ない。

 

Encore:

12.My Spirit Will Go On
アンコールに入って一曲やってから、次はなんの曲をやるのかの寸劇を繰り広げる。サムがフレデリックにベースラインを弾かせる。いきなりジャズを弾き始めてサムが「No!No!」と言う、なんだ違ったか〜、とドリームシアターをやり始める。サムは「Dreamtheater?No!」のオーバーアクションで曲がジョニーキャッシュのリング・オブ・ファイヤーに決まる。ハーマンはそんな中で忙しくバックで動き回る。こんな一コマがドラフォの魅力の旨味となる。

 

13.Ring of Fire (Johnny Cash cover)

そんなちょっとしたコントを経てカバー曲がプレイされる。そして遂にドラフォ最強のナンバーで締め括られる。

 

14.Through the Fire and Flames

サム、ハーマン、フレデリック、ヴァージムの四人がサークルになり、隣の人の弦やキーボードを押さえて演奏をするというキテレツな荒技をもやってのけた。メンバーの仲のよさが半端ない。悪ガキ集団ドラフォの憎めない楽しい魅力が全開で広島公演に幕が下りた。

 

広島公演は北京からの移動したその日にあった。フレデリックのツイートで分かるように、3時間しか寝てないと聞いていたので、ここまで全力なパフォーマンスは無理と思っていた。流石に若いバンドだ。想定以上のパフォーマンスを披露してくれたドラフォには感謝しかない。素晴らしいステージだった。

ありがとう!ドラフォよ!また来いよ!また行くからね!